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民俗的に見たせんべい汁
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(2)民俗調査に見る調理法や食べ方の違い

調理法は、「せんべい汁」と「せんべいかやき」の大きく2つに分けて分類した。
また、食べ方では日常の食卓で食べていた他に、特別な時に食べたという報告もあった。

1.せんべい汁の調理法
せんべい汁には、大別して二通りの食べられ方があることがわかった。いずれも初めから「汁仕立て」にして食べる食べ方であるが、以下の二通りである。
・簡素な材料で通常の食卓で食べるもの・具材を豊富に入れその土地でとれる川魚や川蟹・鶏肉などでダシ取り、おもてなしの料理として食べる
 
(イ)家庭の食卓
 馬淵川や新井田川の下流域や、周辺の農村部、八戸市中心部周辺に多く、ニンジン・ゴボウ・長ネギを中心に、ありあわせの具材で「ひっつみ」風に作るもの。
ダシは煮干・焼干・鶏肉・サバ缶などが多く、あっさり味に作った。
 
(ロ)おもてなし料理
 馬淵川や新井田川の川沿いや上流地域に多く見られた。現在のせんべい汁に近いが、ダシ取りの材料が豊富だった。名川町名久井地区、三戸町の梅内・泉山・大舌地区、八戸市館・大館・是川地区などで、農繁期に手伝いにきた人々の昼食や夕食に、具材の豊富なせんべい汁を作って振る舞ったとの報告があった。ダシは川蟹(館地区)・ウグイ(川魚)・鶏肉・雉肉・兎・岩魚・鮎などが多い。

2.せんべいかやきの調理法
鍋仕立てにした料理にせんべいを割って入れ、味を染み込ませて食べる食べ方である。これも大別して二通りの食べ方があることがわかった。一つは肉鍋や魚鍋を作り、具材が煮あがった頃合いを見て、せんべいを割って入れる食べ方。もう一つは鍋料理を食べ尽くしたあと、残ったダシ汁に新に野菜やせんべいを割って入れ、二番鍋として食べる食べ方である。

(ハ)鍋物(一番鍋・二番鍋)
 鍋の種類は千差万別である。農村や山間部(岩手県北部を含む)、海岸部では、肉や魚の割合に差はあるが、調査圏内ではおおむね同様の食べ方をされてきた。鍋物の種類は、「雉鍋」「鶏鍋」「兎鍋」「豚肉鍋」「きのこ鍋」「クジラ汁」「タラ鍋」「鮭鍋」などである。
また、北海道で食べていたとの報告もあった。「塩三平汁」「塩石狩鍋」に、ゴマせんべいを割って入れたものを食べていたという。

3.その他の調理法や食べ方
上記の@Aが回答の大半を占めたが、地域や家庭によって、違った食べ方をしていたという報告がある。

(ニ)出産・病気時のせんべい汁「台鍋せんべい」
 八戸市の八太郎・日計・根岸・河原木・長苗代・沼館・尻内地区、岩手県二戸市などでは、出産や病気の時の食べ物だから普段は食べなかった、との報告があった。お産見舞いや病気見舞い用に、専用のせんべいが売られた時代もあったという。これを「台鍋せんべい」と呼んでいたとのこと。一人用にテーブルや食卓の上で、コンロや七輪で調理したことから名付けられたもの。
汁は薄味で塩や醤油で作った。卵白にせんべいを割って軽く煮付けた物で、青菜を入れて彩りをしたこともあったという。
名川町剣吉地区(旧北川村)ではせんべい汁といえば「台鍋」、「台鍋」といえばせんべい汁のことだったとの報告もある。

(ホ)簡易せんべい汁
 一時的なものであったか、古くから食べていたのか確定出来なかったが、八戸市・階上町・南郷村の境にあたる南郷村田代地区での報告。年寄りたちが白せんべいに味噌を塗って焼き、それをお椀に割って入れ、熱湯をかけて食べていたとのこと。

(ヘ)焼麩の代用的食べ方
 八戸の外海に面した海岸部や川沿い上流の山間部、岩手県北部では、みそ汁の具としてせんべいを割って入れたり、耳せんべいを入れたとの報告も数例見られた。

イ.通常の食卓料理 簡素な材料で通常の食卓で食べるもの 
ロ.振る舞い料理 具材を豊富に入れ、その土地でとれる川魚や鶏肉などでダシ取る。来客時や農作業を手伝ってくれた人への振る舞いなどで食べた。
ハ.鍋物 一番鍋・二番鍋があり、種類は「雉鍋」「鶏鍋」「兎鍋」「きのこ鍋」「クジラ汁」「タラ鍋」「鮭鍋」などである。
ニ.C出産・病気時 八戸市の河原木周辺地区、岩手県二戸市などで見られる。汁は薄味で塩や醤油で作った。卵白にせんべいを割って煮付けた物である。
ホ.簡易せんべい汁 八戸市・階上町・南郷村田代地区での報告。白せんべいに味噌を塗って焼き、それをお椀に割って入れ、熱湯をかけて食べていた。
ヘ.E焼麩の代用 八戸の海岸部や川沿い上流の山間部、岩手県北では、みそ汁の具としてせんべいを割って入れたり、耳せんべいを入れた。

 

 

八戸せんべい汁研究所
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